紙と木(作品投稿)
僕は紙。
僕たちは人間の役に立っていると思う。
僕たちは人間にいろいろなものを書かせてあげている。
それなのに人間は僕たちを雑に扱う。
ちょっと字を間違えただけで僕たちを捨てたりするんだ。
でもそんな捨てられるかもという不安から救ってくれる友達がいる。
それは木だ。
木の話は面白いし木は優しい。
僕は窓に貼ってあって木はその向こう側にいるからいつでもお話ができるんだ。
でも最近木は、となりにできた木とよくお話をしていて僕とはあまりお話をしてくれない。
僕は寂しくなった
そんなある日木が僕に話しかけた。
「僕たち結婚するんだ」
僕はおめでとうと言った。
仲良しだった木はいつの間にかいなくなっていた
僕たちは木以上に仲良くなった。
色んなおしゃべりをした。
大きくなったら何になりたいか、昔僕たちは何者だったのか。
ふと木のことを思い出して窓を見ると木はなくなっていた。
僕たちは結婚しようとした。
ところが結婚式を挙げる前に彼女と一緒に捨てられてしまった。
でも別に良かった。
僕は幸せだから他に何も思い残すことなんてない。
「もし生まれ変わっても一緒だよ」彼女は言った。
僕は「うん」とつぶやいた。
木にもさよならをいった。